うさぎの の「の」

何もない日常の足跡

「サンシャインガール」

 クラスメイトに、みーちゃんという女の子がいる。名前がみさだから、みーちゃん。だけど、クラスのみんなは彼女のことを「ゾンビちゃん」と呼ぶ。私にはそれがなぜなのか全くわからない。
 みーちゃんは、人々が思い描くようなゾンビ像とはかけ離れている、と思う。彼女はとても明るくエネルギッシュな人だ。クラスでは副委員長を務め、その快活な人柄から、みんなに好かれている。
 血色が悪いというわけでもない。テニス部に所属する彼女の日焼けした肌には健康的なつやがある。幼い頃にバレエを習っていたらしく、姿勢もいい。柔らかさを残しながらもほどよく引き締まったみーちゃんの身体を抱きしめると、温かくて、シャンプーの甘い香りがした。
 みーちゃんはどうしてゾンビちゃんなんだろう。誰にも訊けない。みんなの持っている共通認識が私にはないだけなのだろうか。それとも。

 ねえ、みーちゃん。
 もしかして、あなたは本当に死体なの?